2012/01/31

飼い主現る



昼食が終わり、ゆるゆると午後の時間が流れる中、唐突に事務所のドアをノックする音、

コンコン...

「はい、どうぞ」と言いながら席を立ち入口に向う。
ゆっくりとドアが開き、中年の女性が恐る恐る顔を覗かせた。
また、宗教か、手作りの商品の訪問販売かと思ってしまった私は、あ~ぁという表情をしていたに違いない。
しかし、その女性の意外な言葉に私の心臓は鋼のように鳴り始めたのだ。

「あのぅ、つかぬ事をお伺いしますが、こちらで猫を飼ってらっしゃいますか?」

うっわーーーー、飼い主だ!!!!! あずきの飼い主が現れた!と、まずそう思った。
そして、私は全神経を波立たせ臨界体制に入った!

「はい!飼ってますよ」(だからどうした!)
「保護した猫ですけど」(だからどうした!)
「この子です!」と寝ていたあずきをムンズと掴んで、その女性の前に差し出した(連れてくのかよ!この可愛いあずを!!!!)

ぬくぬくと寝ていたあずきはあまりの暴力的な扱いに抗議の鳴き声を上げる!
「フギャャーーーー!!!」

その声に圧倒されて、女性は「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい」とおろおろする。

「あの、うちで飼ってた猫がいなくなって、お友達がここによく似た猫がいるから一度聞いてみたら、と言うものですから」
「急にお伺いして申し訳ありませんでした」

ふむふむ、聞けばこの近くにお住まいの方ではないという、あずきを見る目も、”ああ、この子じゃない”とがっかりした様子。
私も半分くらい臨界体制を解除して、あずきがここにやってきた話をしたり…彼女の話を聞いたり…。
その女性はどうもすいませんでしたとあやまって立ち去っていった。

奥ではBOSSとイソ君が笑いを堪えている気配がする。
もう、まじで飼い主が現れたと思ったんだから!!! 大体あずきが窓際で通行人に愛想振りまき過ぎなんだよ~。

しかし冷静に考えて、3ヶ月の子猫を保護して1年半がたとうとしている、現れるはずはないんだよね。

やれやれ

早く見つかるといいね、あず似のにゃんこさん....